自民党神奈川県議団 宮城県被災地視察報告
7月25日(月)~26日(火)自由民主党神奈川県議団の有志24名、自由民主党神奈川県連合会スタッフ3名と視察団を結成し団長として現地へ行ってまいりました。今回は、東日本大震災 宮城県被災地の視察報告です。
平成23年3月11日(金)14時46分頃、後にわが国の観測史上最大のマグニチュード9.0を記録した大地震が発生し、予想を遥かに超える津波に東日本が襲われ、多くの尊い命が失われ、家屋の倒壊、レベル7となった福島第一原子力発電所事故による放射能汚染、加えて農作物並びに魚介類への汚染に関する風評被害を招いており、甚大な災害となっています。
自由民主党神奈川県議会議員団は、未曽有の大震災によるこの国難の事態に実際に自分達の目で被災の把握と地域の声を聞くことにより、本県の今後の災害対策に向けて積極的に提言していくことを目的として、今回の視察調査を実施しました。
私たちの住む神奈川は、三方を海に囲まれた県です。そして、急傾斜地の多い地域でもあります。あの震災の教訓を生かして、更なる防災対策・津波対策を早急に皆さんと共に構築をしていかなければなりません。
皆さまのさまざまなご意見をいただきながら、汗を流してまいりたいと思っています。ご協力よろしくお願いいたします。


宮城県牡鹿郡女川町内 東北電力女川原子力発電所
女川原子力発電所にて所内視察と大震災への防災、そして大震災が発生した場合の訓練センターを視察致しました。所内では、副所長による女川原発の防災について説明を受けました。
過去に女川地区に押し寄せた津波は最大8mだったそうです。その教訓も踏まえ女川町原発は、海抜14.8mにあり今回の津波は最大13mだったため津波の被害は受けずに非常用電源が確保され、冷温停止状態にすることができたようです。
しかし、全体的に地盤が沈下している現状から、あと数センチ、数メートルしか余裕がなかった現状は危なかったでは済まされない、もしかすると福島と同じ状況になっていたかもと想像してしまうと同時に、今回の津波がいかに想定外であったかが窺えます。
また、敷地内の道路には、液状化により地盤沈下した箇所が数多く発生しておりました。
最後に原子力技術訓練センターを視察し、大地震や津波が発生した際のシュミレーション訓練を視察させて頂きました。訓練とは思えない本当に大地震や津波が発生したのではないかと思う位の緊張感が走る訓練でした。
常にこの緊張感を持って訓練されている事に敬意を表するとともに改めて原子力に対する安全について考えさせられました。


宮城県牡鹿郡女川町内 被災地域
昨晩は、この女川町で唯一営業されているホテルに宿泊を致しました。全国各地からのボランティアや警備にあたられている警察関係の方々も宿泊されていて、遠方からでは九州の車両もありました。
翌朝、警備や復興にご尽力されている方々と一緒になりました。20代~30代の青年達が備品と弁当を車に積み込み、被災した現場へ出発していきました。心からの感謝の気持ちと復興に全力であたっている皆さんに敬意を表したいと思います。
津波の被害は、女川町全体に広がっておりました。行政の中心施設である女川町役場も津波の被害を受け、写真にもあるとおり1~2階は完全に津波が抜けた跡があります。町長以下、職員の方々はなんとか逃げられたものの携帯電話やインターネットが活用できない為、情報が入らない、また伝達できない現実があったこと、その中でアマチュア無線が通信手段として活用されたと話されていました。
過去の津波被害では、ここの高さまで津波が来なかったから建てられたと思われる神社が今回の災害では被害を受けていました。言い伝えは守るもの。これより上にと、言い伝えを守った所に建てられた建物は被害にあわなかったとの事でしたが、海抜20mの高台にある女川町立病院でも病院の1階に津波が襲ってきた事や、世界でも例のない津波の引き波によって倒された建物等、改めて自分の目で見る事によって今回の津波が想定外であったことがわかりました。
なお、女川町ではこの引き波で倒されてしまった建物を後世に伝えるために、保存してはとの考えもあるとの事でした。女川町は、漁業が主産業です。魚介類や加工した商品を保管する冷凍倉庫が被災した為、保管が出来ないとの事。漁港の復旧整備が急務であると思われます。


宮城県牡鹿郡女川町内 コンテナ商店街
壊滅的な被害となった女川町から、復興に向けて地域の方々が一丸となって行動されています。住居や工場等の区割りが行政で進められている一方、被災された方々で女川町の地元の産物を販売して経済復興を進めるために「女川町コンテナ商店街」というコンテナを店舗として利用し、それが集まる事によって手作りの商店街が出来上がっていました。
飲料や日用雑貨品、そして海産物から野菜や果物、テレビまで売る電気屋さん等が店を連ねています。政府からの補正予算を待ってはいられず、自分達で故郷の復興に向けた行動を始めた女川町住民の皆さんの気概が感じられました。


今回の調査前の5月に「震災対策調査特別委員会」を設置し、現在までの議論・今後の課題について、正副議長へ中間報告をして参りました。
今回の大地震を教訓とした取組みはまだ始まったばかりで、今後の施策展開の行程も見えてこない現状です。その観点からも今回の調査により、実際に自分達の眼で現地を視察し、その地域の声を生で聞いた事により、我々は今後も神奈川県の取組みを注視し、県民の生命と財産を守るという観点から様々な審議を尽くし、積極的な提言をして参ります。
【自民党神奈川県議会議員団が指摘した主な課題】
■放射能測定の強化及び情報開示 ■放射能被害茶葉生産者の支援 ■放射能汚染下水道汚泥対策 ■液状化被害支援 ■LED普及 ■市町村等との連携強化 ■地域防災計画の見直し ■帰宅困難者対策 ■県有施設防災対策の強化
[宮城県被災地調査団団員名簿]
団長…竹内英明/実行委員…嶋村ただし、梅沢裕之、加藤元弥、横山幸一、原 聡祐、藤代ゆうや/団員…松田良昭、小川久仁子、土井りゅうすけ、森 正明、佐藤 光、桐生秀昭、いそもと桂太郎、小島健一、国松 誠、内田みほこ、河本文雄、細谷政幸、八木大二郎、あらい絹世、高橋栄一郎、山口貴裕、田中徳一郎(24名)